腸腰筋症候群(ちょうようきんしょうこうぐん)は、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)の問題によって引き起こされる疼痛性の症候群です。以下に主な特徴と情報をまとめます:
定義:
腸腰筋の過緊張、短縮、炎症などにより、腰部から大腿部にかけての痛みや機能障害を引き起こす状態。
主な症状:
- 腰痛(特に腰の前面から側面)
- 股関節の前面の痛み
- 大腿部前面の痛みやつっぱり感
- 股関節の可動域制限(特に伸展時)
- 腰椎の前弯増強
- 起立時や歩行時の痛み
- 長時間座位での不快感
原因:
- 過度の運動や激しい動き
- 不適切な姿勢(特に長時間の座位)
- 外傷
- 腰椎疾患(椎間板ヘルニアなど)
- 手術後の合併症
リスク因子:
- デスクワーク従事者
- アスリート(特にランナー、サッカー選手など)
- 高齢者
診断方法:
- 問診
- 理学的検査(Thomas testなど)
- 画像診断(MRI、CT、超音波)
治療法:
- 保存的治療
- ストレッチング
- マッサージ
- 物理療法(超音波、電気刺激など)
- 運動療法(腸腰筋のリラクゼーション、拮抗筋の強化)
- 薬物療法
- 消炎鎮痛剤
- 筋弛緩剤
- 注射療法
- トリガーポイント注射
- 神経ブロック
- 生活指導
- 姿勢の改善
- エルゴノミクスの調整
予防と管理:
- 定期的なストレッチング
- 適切な姿勢の維持
- バランスの取れた筋力トレーニング
- 過度の運動を避ける
重要ポイント:
- 腰痛の原因として見落とされやすい
- 他の腰痛疾患との鑑別が重要
- 適切な治療と管理で症状改善が期待できる
- 再発予防のための継続的なケアが重要
腸腰筋症候群は、適切な診断と治療により多くの患者さんが症状の改善を経験できます。持続的な腰痛や股関節の不快感がある場合は、専門医への相談が推奨されます。