腹診(ふくしん)は、古代中国の伝統医学である「中医学」において用いられる診断法の一つです。中医学では、人体の健康や病気は体内のエネルギーや気(キ)のバランスによって影響を受けると考えられています。腹診は、特に腹部の形状、色、脈搏などを観察し、体内のエネルギーや気の状態を判断する方法です。
腹診の具体的な手順は以下のようなものがあります:
- 視察(しさつ):腹部の形状、皮膚の色、脈搏などを観察します。特に腹部の張りや凹凸、色の変化などに注目します。
- 聴診(ちょうしん):患者の腹部に耳を近づけ、腹部の音や音の強さ、リズムを聴き取ります。これにより、腹部の内臓の働きや異常を判断します。
- 叩診(たたきしん):腹部を指で軽く叩いて音を聞き、腹部の内臓の位置や腫瘍の有無などを判定します。
- 触診(しょくしん):手で腹部を触れ、腹部の張りや痛み、脈搏の状態を確認します。
腹診は、中医学の基本的な診断法の一つであり、体内のエネルギーや気のバランスを理解するために重要な手段です。腹診によって得られた情報をもとに、体の不調や病気の原因を特定し、中医学的な治療や漢方薬の処方を行うことがあります。ただし、現代医学とは異なる診断法であるため、中医学の専門家による診断が必要です。腹診は、症状の早期発見や予防、健康の維持に役立つとされています。