自律神経リセット治療~刺さない鍼~

東洋医学
接触鍼、お灸、脈診

原因不明であることが多い自律神経失調症ですが日本伝統文鍼灸をベースとした治療で副交感神経神経を活性化し体調を整えていきます。

ここではその仕組みと効果について解説していきます。

そもそも自律神経とは?

自律神経は、体の内外の情報や刺激に対して、自動的に反応する神経の事で、
間脳の視床下部から始まり、体中に広がっています。

働きとしては本人の意志とは関係なく、呼吸・血液循環・体温調節・消化・
排泄・生殖・免疫などの機能を自動的に調節し生命維持には欠かせない働きを
しています。

この働を、ホメオスタシス(生体恒常性)と言い、
自律神経はこのホメオスタシスに大きく貢献しています。

自律神経には2種類あり、それぞれが別の性質を持っています。

『交感神経』は活動神経と言われ、日中活発になり、体を動かしたりストレスにさらされた時に緊張状態を作り、俊敏に動けるよう助ける役割があります。

『副交感神経』は休む神経といわれ、夜活発になり、消化を促進したり、眠りに入りやすくし体の緊張を取って休む事を促します。

働く時と休む時、自律神経が正常に働く事で疲れをためる事なく円滑に
生命活動を続ける事ができるというわけです。

自律神経の乱れにより起こってしまう自律神経失調症とは?

2016年の調査では65万人が自律神経失調症と診断されており年々その数は増加傾向にあると言われています。

自律神経失調症とは先ほど説明した自律神経のバランスが崩れることで
様々な症状が出ている事を言い。個人差が大きく。複数の症状が別々に
現れることもあれば、同時に3つ、4つの症状が重なることもあるという
複雑な病気です。

具体的にどのような症状があるのでしょうか?

例えば

休みたい夜に交感神経が活性化するとよく寝付けず不眠症になります。

頑張って寝ようとすると余計興奮して眠れないなんて経験をした事は
ないでしょうか?

反対に日中に副交感神経が活発になるとすぐお腹を下してしまいます。

緊張するとお腹が痛くなる人がこれにあたります。

その他の自律神経失調症の症状。

肩こり腰痛、疲れやすさ、倦怠感、 めまい 、ふらつき、のぼせ、冷え、 頭痛 、耳鳴り、動悸、関節の痛み、便秘、下痢、生理不順、口や喉の不快感、頻尿、残尿感、発汗、など。

自律神経失調症の症状は他にも沢山ありココでは書ききれませんが、もしかしたら誰でも一度は経験がある症状かもしれません。

どのような施術

C触覚繊維を活性化させオキシトシンの分泌を促す鍼灸

当院では数ある刺激の中から「C触覚繊維」を活性化し「オキシトシン」の分泌を促すのに最も適切と言われている「柔らかい刺激」を駆使して自立神経をリセットする治療を行なっております。

これらは通常の体内へ刺す鍼はなく肌に触れる鍼、接触鍼という針治療を行います。

肌に触れる鍼!接触鍼とは!?

鍼を肌に当てて治療していく施術方法になります。

一般的な鍼灸治療は鍼を体に刺して治療していきますが、接触鍼の場合は当てるだけで体に刺しません。

一般的な体に刺す鍼灸だと鍼の刺激は「痛み」に分類され侵害刺激という形で体は反応します。

・高閾値機会受容器
・ポリモーダル受容器
などが有名です。

侵害刺激は強い刺激なので即効性がありますが、体の緊張を緩め自律神経を整える方法はその他にもいくつかあります。

接触鍼は刺さずに治療するので痛み受容器を働かせません。代わりに「C触覚繊維」という心地よさや安心感を受容する受容器を働かせます。

それにより弱い刺激で自律神経調整により効果的な鍼灸治療が可能となります。

また、刺す痛みの苦手な方にとっても安心して受けて頂ける人気の治療です。

オキシトシンとは!?

快適な触覚刺激が脳に伝わると、視床下部 ではオキシトシンという神経伝達物質が分泌されます。

オキシトシンとは安らぎの脳内物資であり、分泌されると副交感神経が優位に働き、心 身ともにリラックスし、ストレスを軽減させます。

近年では心臓にも オキシトシンの受容体が豊富に存在している ことがわかっており、オキシトシンによって 血圧が下がり心拍も下がることから。オキシトシンはストレスから心臓を守る働きも持っていると今では考えられています。

「C触覚繊維」 とは!?

皮膚には四種類の触覚受容器が無数にありいずれもツルツル、ネバネバといった刺激の特徴を識別して、これらを識別機能と呼びます。

ところが近年これらとは別の機能を持つ触覚が発見され、不安や安心感、嫌悪感といった情動を触覚を使って知覚します。

これらの新しい知覚はC繊維という細い神経を通る事から「C触覚繊維」と呼ばれており、触れることで活性化されます。

・自分自身の情動を感じる
・自律神経のバランスを整える
・自己存在感を感じ自己意識を高める
・共感、他者の情動を知る

などの働きを持っており、自立神経を整え安心感を感じるのに重要な役割をもっている事がわかります。

以上の関係をふまえてC触覚繊維を活性化させオキシトシンの分泌を促すと自律神経が整いリラックスできる効果があると分かっていただけたでしょうか?

日々さまざまな環境でストレスと闘っておられる方々に自律神経をリセットして心身共に真に安らいで頂ける空間を提供したいと考えております。

おまけ

皮膚は露出した脳

ここまで自律神経を中心に説明してきましたが、そもそも鍼灸と自立神経につながりがあるのでしょうか?

ここでは皮膚と脳との関連を見ていくことでその繋がりを説明したいと思います。

皮膚が「露出した脳」または「第3の脳」と言われている事はご存知でしょうか?

生理学的に見ると脳(神経)と皮膚は共通点が多く見つかっています。

例えば、受精卵ははじめ三つに分かれて。外胚葉(皮膚、神経、脳)中胚葉(骨、軟骨、血管)内胚葉(小腸、肝臓、膵臓など)となり、その後分裂して人の体ができていきますが、発生の過程を辿ると皮膚と脳は同じ外胚葉由来だということがわかります。

また近年の研究では皮膚と脳には同じ物質が確認されています。

原始的な生物である海綿は外胚葉でのみで成り立っていると考えられていますが、海綿の表面、つまり人間で言うところの皮膚が環境の住みやすさなどを
知覚して栄養とそうで無いものを判断していると考えられています。

海綿はまさに「露出した脳」の状態で太古から生き残っていると言う訳です。

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